外壁カバー工法の費用相場は?条件と注意点を現役職人が解説

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こんにちは。屋根屋のカズさんです。

「そろそろ外壁をなんとかしたいけど、もう塗装じゃ間に合わない気がする」「外壁カバー工法っていうのがあるらしいけど、費用はいったいいくらかかるんだろう」。そんなふうに迷ったまま、見積もりを取るところで止まってしまっている方は多いと思います。

外壁カバー工法は、今ある外壁を剥がさずに、その上から新しい外壁材を重ねて張る工事です。張り替えより安く済んで、塗装よりはるかに長持ちするという、ちょうど中間の選択肢になります。築30年を超えたお宅からのご相談がここ数年でかなり増えていて、私の現場でも屋根工事と一緒に外壁カバーをやるケースが目立ってきました。

ただ、正直に言うと、どんな家でもできる工事ではありません。下地の状態しだいでは選べませんし、通気層の作り方ひとつで10年後の壁の中身が変わってしまう、意外と繊細な工事でもあります。重ね張りという言葉の響きほど単純ではないんですよ。

この記事では、外壁カバー工法の費用相場や見積書の内訳、金属サイディングの種類による価格差、塗装や張り替えと比べたときの損得、そして「うちはカバー工法ができるのか」を見分ける条件まで、現場で20年以上やってきた立場から書いていきます。読み終わるころには、業者さんから出てきた見積もりが妥当なのかどうか、ご自分で判断できるようになるかなと思います。

  • 外壁カバー工法の費用相場と見積書の内訳
  • 外壁材の種類ごとの単価と価格差が生まれる理由
  • 塗装や張り替えと比べたときの損得
  • カバー工法ができる家とできない家の条件

外壁カバー工法の費用相場と工事の中身

外壁カバー工法とはどんな工事か

外壁カバー工法は、業界では重ね張りとも呼ばれる工事です。今ある外壁材を撤去せず、その上に下地となる胴縁を打って、新しい外壁材をかぶせていきます。屋根のカバー工法とまったく同じ考え方で、既存の層を残したまま新しい層を作る、というやり方ですね。

なぜ剥がさないのかというと、理由は主に3つあります。ひとつ目は、撤去と処分にかかる費用と手間がまるごと消えること。外壁を剥がすとなると、足場の上で解体作業をして、出た廃材を分別して処分場に運ぶまでが必要になります。ここだけで数十万円かかりますから、これがなくなるのは大きいです。

ふたつ目は、工期が短くなること。張り替えだと解体日と施工日が別々に必要ですが、カバー工法なら下地を組みながら順に張っていけます。3つ目は、外壁が二重になることで、断熱性と遮音性が上がることです。特に断熱材が裏に貼り付いている金属サイディングを使うと、この効果ははっきり体感できます。

外壁カバー工法の基本的な仕組み

  • 既存の外壁はそのまま残す
  • 上から透湿防水シートと胴縁で下地を作る
  • 胴縁の厚み分だけ通気層ができる
  • その上に新しい外壁材を張って仕上げる

使われる外壁材は、ほぼ金属サイディングだと思っていただいて大丈夫です。既存の壁に荷重をかけるわけですから、軽さが何より優先されます。窯業系サイディングは1平米あたり16kg前後、金属サイディングは5kg前後ですから、重さが3分の1以下になるんですね。この差がそのまま、カバー工法で選べる材料の答えになっています。

ちなみに「外壁カバー工法」と言いながら、実際にはサッシまわりの水切りや役物の納まりが仕上がりの良し悪しを決めます。平らな面を張るだけなら誰でもできますが、窓の四隅、換気フードのまわり、土台水切りとの取り合いといった細かい部分に、職人の腕がはっきり出る工事です。

30坪の費用相場と坪単価の目安

いちばん気になる費用の話をしていきます。あくまで一般的な目安ですが、延床30坪の2階建てで、外壁カバー工法の総額は120万〜200万円前後が相場です。幅が広く感じると思いますが、これは使う外壁材のグレードと、付帯部分をどこまでやるかで変わるからです。

平米単価で言うと、外壁材と施工費を合わせて9,000〜13,500円前後が目安になります。延床30坪の家だと、外壁の面積はだいたい120〜140平米くらい。ここに足場代と付帯部の塗装、諸経費が乗って、総額が決まる形です。

延床面積 外壁面積の目安 総額の目安
25坪 約100〜110平米 110万〜170万円
30坪 約120〜140平米 120万〜200万円
40坪 約150〜175平米 160万〜250万円
50坪 約190〜220平米 200万〜300万円

ここで知っておいてほしいのは、外壁面積は延床面積とイコールではないということです。よく「延床30坪だから100平米くらいかな」と考える方がいるんですが、外壁は建物をぐるっと囲む縦の面ですから、総二階の家なら延床面積の1.2〜1.4倍くらいの数字になります。凹凸の多い家や、下屋がたくさんある家はもっと増えます。

逆に、外壁面積が延床とほぼ同じか少ない数字で書かれている見積もりが出てきたら、開口部の控除の仕方がおかしいか、そもそも実測していない可能性があります。窓の面積を引くのは正しいんですが、引きすぎると施工面積が実態と合わなくなって、あとから追加請求につながることがあるんですよ。

見積もりを比べるときは、必ず「外壁面積が何平米で計算されているか」を確認してください。総額だけを見比べると、面積の前提が違う見積もりを同じ土俵で比べてしまうことになります。

それと、外壁カバー工法は付帯部分の扱いで金額が動きます。破風板、雨樋、軒天、雨戸、水切りといった部分をどうするか。せっかく足場を組んでいるので一緒に手を入れるのが合理的なんですが、そこが見積もりに入っているかどうかで20万〜40万円くらい差が出ます。安い見積もりは、この付帯部が丸ごと抜けているケースが少なくありません。

見積書の内訳と項目ごとの単価

総額だけ見ていても中身は分かりませんから、見積書の項目ごとに単価の目安を並べておきます。これも地域や業者さんによって差がありますが、極端に外れていたら理由を聞いてみる価値はあります。

項目 単価の目安 内容
仮設足場 800〜1,200円/平米 組立と解体、飛散防止シート込み
既存外壁の下地調整 500〜1,500円/平米 浮きやひび割れの補修、清掃
透湿防水シート 500〜1,000円/平米 二次防水の役割を持つ層
胴縁の取り付け 1,000〜2,000円/平米 通気層を作る下地材
金属サイディング本体 5,000〜9,000円/平米 材料費と張り手間
役物と板金加工 2,000〜5,000円/m サッシまわり、出隅入隅、水切り
シーリング工事 900〜1,500円/m 開口部まわりの止水
付帯部の塗装 15万〜40万円 破風、軒天、雨樋、雨戸など
廃材処分と諸経費 工事費の5〜15% 運搬、産廃処理、現場管理

この中で総額に効いてくるのは、やはり金属サイディング本体足場です。足場は2階建てなら15万〜25万円が一般的で、総額の1割強を占めます。ここは削りようがない費用だと思ってください。無理に足場を省くと、施工品質が落ちるか、職人が危険な体勢で作業することになります。

意外と見落とされるのが役物と板金加工の項目です。出隅、入隅、サッシまわり、幕板、土台水切り。この納まりを作る手間が、外壁カバー工法の実質的な中身と言ってもいいくらいで、金額としても20万〜50万円くらいになります。ここが「一式」でまとめられている見積もりは、あとで内容がぶれやすいので、内訳を出してもらったほうが安心です。

足場については、屋根工事と外壁工事を同じタイミングで行うと1回分で済みます。別々にやると足場代を2回払うことになりますから、屋根も築年数が経っているなら、一緒に検討する価値は十分あります。詳しくは屋根工事の足場費用の相場と節約方法のほうで解説していますので、あわせて読んでみてください。

外壁材の種類で変わる費用の差

外壁カバー工法で使う金属サイディングにも、素材と製品グレードによって価格差があります。ここを理解しておくと、見積もりの金額の違いがすっきり説明できるようになります。

素材 材料の単価目安 耐用年数の目安 特徴
ガルバリウム鋼板 5,000〜7,500円/平米 30〜40年 もっとも普及。価格と性能のバランスが良い
SGL鋼板 6,500〜9,000円/平米 35〜45年 マグネシウムを加えた次世代めっき。防錆性が高い
アルミ 8,000〜12,000円/平米 40〜50年 錆に非常に強いが材料費が高い
ステンレス 12,000円以上/平米 50年前後 最高クラスの耐久性。一般住宅では稀

戸建てで圧倒的に多いのはガルバリウム鋼板SGL鋼板です。SGL鋼板はガルバリウム鋼板のめっき層にマグネシウムを加えたもので、切断面や傷からの錆の広がりが抑えられます。材料費は1平米あたり1,000〜1,500円ほど上がりますが、30坪なら差額は15万〜20万円程度。将来のメンテナンス頻度を考えると、ここは上のグレードを選んでおいて損はないと私は思います。両者の違いについてはSGL鋼板とガルバリウム鋼板の性能の違いで詳しく整理しています。

もうひとつ、製品選びで大きいのが断熱材が一体になっているかどうかです。アイジー工業やニチハ、旭トステム外装といったメーカーの主力製品は、金属板の裏に硬質ウレタンフォームなどの断熱材を一体成型しています。ニチハのセンターサイディングのように厚み18mmという製品もあって、この厚みがそのまま断熱性と遮音性になります。

断熱材つきの製品は材料単価が上がりますが、外壁が二重になることと合わせて、夏場の室温の上がり方や雨音の伝わり方がはっきり変わります。せっかくカバー工法をやるなら、断熱材一体型を選ぶほうが工事の意味が出ますね。

金属サイディングは表面の塗装グレードでも価格が変わります。フッ素系の塗装が乗っている製品は、色あせが始まるまでの期間が長くなります。カタログの「塗膜保証10年」「赤さび保証20年」といった表記は、製品グレードを見分ける目安になりますよ。

塗装や張り替えとの費用の比較

外壁のメンテナンスには、塗装、カバー工法、張り替えの3つの道があります。どれを選ぶべきかは、外壁の傷み具合と、あと何年その家に住むかで決まります。金額だけで判断すると、たいてい後悔します。

工法 30坪の費用目安 次のメンテまで 向いている状態
外壁塗装 60万〜120万円 8〜15年 下地が健全で、色あせや軽微なひび割れ程度
カバー工法 120万〜200万円 30〜40年 表面は傷んでいるが下地は生きている
張り替え 180万〜280万円 30〜40年 下地まで傷んでいる、雨漏りしている

1年あたりのコストに直してみると、見え方が変わります。塗装が100万円で12年もつなら年8.3万円。カバー工法が160万円で35年もつなら年4.6万円です。長い目で見るとカバー工法のほうが割安になる計算になります。もちろん最初にまとまったお金が必要ですから、そこは家計との相談ですけどね。

判断の目安として、私がよくお伝えしているのは築年数です。築30年くらいまでは塗装で十分、築35年を超えて外壁材そのものの寿命が近いならカバー工法か張り替え、という分け方です。窯業系サイディングの耐用年数はおおむね30〜40年ですから、この時期になると塗装をしても外壁材の中身が持ちません。

それから、そもそも塗装ができない状態というのもあります。サイディングが大きく反っている、表面が指でこすると粉になるほど劣化している、目地のシーリングが完全に切れて隙間が空いている。こういう場合は塗料を塗っても密着しませんし、数年で剥がれてきます。サイディングの傷み具合の見方はサイディングのひび割れ補修の費用と原因のほうにまとめてあります。

張り替えを選ぶべきなのは、外壁を剥がした先の下地、つまり構造用合板や柱が濡れている可能性がある場合です。雨漏りしている家にカバー工法をかけてしまうと、湿気を閉じ込めることになって、壁の中で腐朽が進みます。表面がきれいになった分、気づいたときには手遅れという最悪の展開もありえます。ここは費用の高い安いで決めてはいけない部分です。

外壁カバー工法で後悔しない条件と注意点

カバー工法ができる外壁の条件

ここからは「うちはカバー工法ができるのか」という話に入ります。結論から言うと、条件は大きく分けて3つです。

外壁カバー工法ができる家の条件

  • 下地の構造材が傷んでいないこと
  • 現在、雨漏りしていないこと
  • 既存外壁が新しい外壁材の荷重を支えられること

ひとつ目の下地の健全性が最重要です。外壁の裏側には防水シートがあって、その奥に構造用合板や間柱があります。ここが濡れて腐っていると、いくら上から新しい壁を張っても土台が持ちません。胴縁を留めるビスも効かなくなります。

確認方法としては、外壁の一部を剥がしてみる調査がいちばん確実です。真面目な業者さんなら、目立たない場所を50cm角ほど開けて中を見せてくれます。あとは室内側からのチェックも有効で、外壁に面した壁のクロスに浮きやシミがないか、押してみて柔らかい場所がないかを見ます。

ふたつ目の雨漏りしていないことは、さっきも触れたとおりです。天井のシミ、サッシの下枠に水が溜まる、雨の後に壁の内側から音がする。こういう症状があるなら、まず雨漏りの原因を特定して止めるのが先で、カバー工法はその後です。順番を間違えると、確実に高くつきます。

3つ目の荷重については、金属サイディングが軽いおかげでほとんどの家がクリアできます。ただし、外壁材が2層になった重さを最終的に支えるのは既存の躯体ですから、木造で築年数が非常に古い家や、増改築を繰り返した家では、一度きちんと見てもらったほうがいいです。

逆に、条件を満たしていれば築40年、50年の家でもカバー工法は成立します。私が入った現場でも、築45年のモルタル外壁を金属サイディングで包んで、見違えるようになったお宅がありました。中身がしっかりしていれば、表面は作り直せるんですよ。

モルタル外壁で気をつけたい点

モルタル外壁の家からのご相談も多いので、ここは項を分けて書いておきます。結論としてはモルタル外壁でもカバー工法は可能です。ただし、サイディングの上からやるときより慎重な下地調整が必要になります。

モルタルは現場で塗って作る湿式の外壁ですから、経年でひび割れが入ります。細いヘアクラックなら問題ないんですが、幅0.3mmを超えるようなひび割れや、叩くと空洞音がする浮きがある場合は、その部分を先に補修してから胴縁を打ちます。浮いたモルタルの上に胴縁を留めても、ビスが効かずに数年で緩んでくるからです。

モルタル外壁のカバー工法でいちばん怖いのは、既存のひび割れや浮きを直さないまま覆ってしまうことです。新しい外壁で見えなくなるので、内部で剥落が進んでも気づけません。下地調整の項目が見積もりに入っているか、必ず確認してください。

もうひとつ、モルタル外壁は湿気を吸って吐く性質があります。ここに通気層のない状態でサイディングを密着させると、水分の逃げ場がなくなって、壁の中の湿度が上がりっぱなしになります。カビや木材の腐朽につながる話ですから、通気層の確保はサイディングの上に張るとき以上に重要になります。

それと、モルタル外壁の家は築年数が古いことが多く、防水シート自体が入っていない場合もあります。昭和の建物だとアスファルトフェルトすら省略されている例がありますから、カバー工法のときに透湿防水シートを新設できるのは、実はかなり大きなメリットなんですね。表面を新しくするだけでなく、二次防水を追加することになります。

最近は「モルタルカバー工法」といって、既存の壁の上に特殊な軽量モルタルを塗り重ねる方法も出てきています。継ぎ目のない見た目を保てるのが利点ですが、対応できる業者が限られていて、金属サイディングより費用が高くなる傾向があります。モルタルの質感をどうしても残したい方は、選択肢として覚えておいてもいいかもしれません。

通気層と胴縁が仕上がりを決める

外壁カバー工法で、私がいちばん見てほしいと思っているのがこの部分です。表からは絶対に見えない場所なのに、10年後20年後の状態を決めてしまうのが通気層です。

通気層というのは、既存外壁と新しい外壁材の間にできる空気の通り道のことです。胴縁を一定の間隔で打つことで、その厚み分の隙間が生まれます。この隙間を、土台側から入った空気が上へ抜けていく。そうやって壁の中の湿気を外に運び出す仕組みになっています。

通気層が果たしている3つの役割

  • 壁の中に入った湿気を上へ逃がす
  • 万一入った雨水を下へ排出する
  • 夏場の外壁の熱を室内に伝えにくくする

胴縁の厚みは15mm以上、できれば18mm確保したいところです。そして、ただ打てばいいわけではなくて、空気が流れるように打つのが肝心です。横胴縁を隙間なく連続して打ってしまうと、そこで空気の流れが止まります。だから横胴縁を使う場合は、途中に通気の切り欠きを設けるか、縦胴縁との組み合わせにします。

それから、通気層は入口と出口がそろって初めて機能します。土台水切りのところに空気の入口があって、軒天や上部の通気部材から抜けていく。片方だけ塞がっていると、空気は動きません。ここを分かっていない業者さんが施工すると、見た目は同じでも中身がまったく違うものになります。

透湿防水シートについても触れておきます。これは水は通さないけれど水蒸気は通すという性質のシートで、胴縁の下に張ります。万一サイディングの裏に水が回っても、このシートが受け止めて下へ流します。同時に、既存外壁側から出てくる湿気は通してくれる。カバー工法の防水は、表面のサイディングとこのシートの二段構えで成り立っています。

見積もりに透湿防水シートと胴縁の項目が明記されているか、これは必ず確認してください。ここが書かれていない、あるいは「下地工事一式」としか書いていない見積もりは、正直あまり信用しないほうがいいと私は思います。

重さと耐震性で見落としがちな点

外壁カバー工法のデメリットとして必ず挙がるのが、建物が重くなるという点です。ここは正確に理解しておいたほうがいいので、数字で整理します。

金属サイディングの重さは1平米あたり約5kgです。外壁面積が130平米だとすると、増える重さは約650kg。胴縁や役物を含めても800kg程度でしょうか。軽自動車1台分弱の重さが、建物の上のほうに追加されるイメージです。

外壁材 1平米あたりの重さ 130平米での重さ
金属サイディング 約5kg 約650kg
窯業系サイディング 約16kg 約2,080kg
モルタル外壁 約25kg 約3,250kg
タイル外壁 約40kg 約5,200kg

こうして並べると、金属サイディングを重ねても、窯業系サイディングに張り替えるより軽いことが分かります。だから耐震性への影響は限定的だというのが一般的な評価です。ただし「まったく影響がない」とは言えません。建物の重さが増えれば、地震のときに揺れるエネルギーは増えます。

耐震性が気になる方は、外壁カバー工法と耐震補強を切り離して考えないほうがいいです。1981年以前の旧耐震基準で建てられた家なら、外壁工事のタイミングで耐震診断を受けておくと、足場を有効に使えます。

もうひとつ、重さとは別に見落とされがちなのが外壁が厚くなることです。胴縁とサイディングを足すと、壁の厚みが3〜4cm増えます。これによって、サッシが壁の中に引っ込んだ見た目になったり、既存の換気フードや配管の出っ張りが足りなくなったりします。

ちゃんとした業者さんなら、サッシまわりに専用の役物を回して納めますし、換気フードは延長スリーブを入れて出し直します。ここを手抜きすると、サッシ枠との隙間から水が入る原因になります。窓が多い家ほど、この納まりの手間が費用に効いてくると考えておいてください。

業者選びで必ず確認したいこと

外壁カバー工法は、塗装と違って板金の技術が要る工事です。ですから、塗装専門の会社よりも、板金や外装の施工を日常的にやっている会社のほうが向いています。ここを踏まえたうえで、確認しておきたいポイントを挙げます。

業者選びのチェックポイント

  • 外壁面積を実測して見積もりを出しているか
  • 透湿防水シートと胴縁の項目が明記されているか
  • 下地の状態をどう確認したか説明できるか
  • 使用する製品のメーカーと品番が書かれているか
  • 付帯部をどこまでやるか範囲が明確か
  • 保証の内容と年数が書面で出るか

特に製品のメーカーと品番は必ず見てください。「金属サイディング一式」としか書かれていない見積もりだと、実際にどのグレードの製品が使われるか分かりません。同じ金属サイディングでも、材料単価は1平米あたり5,000円のものから9,000円のものまであります。130平米なら差額は50万円を超えます。

それから、下地の確認方法を聞いてみてください。「外から見た感じ大丈夫です」で済ませる業者さんは避けたほうがいいです。一部を開けて確認する、室内側から点検する、含水率計を当ててみる。何らかの根拠を持って判断しているかどうかが分かれ目です。

保証については、メーカー保証と施工保証の2種類があることを知っておいてください。メーカー保証は製品の赤さびや塗膜に対するもので、施工保証は工事のやり方に起因する不具合に対するもの。この2つは別物です。施工保証が何年で、何が対象なのかを書面でもらっておくと安心です。

最後に、費用のことでもう一度だけ。相見積もりは必ず取ってください。外壁カバー工法は工事内容の幅が広いので、1社だけの見積もりでは高いのか安いのか判断できません。3社くらい取って、面積の前提と項目の粒度を並べて比べると、どこが誠実に書いているかが見えてきます。なお、ここで挙げた費用はあくまで一般的な目安ですので、正確な情報は専門業者にご確認ください。

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外壁カバー工法の費用は、外壁の面積や使う金属サイディングのグレード、付帯部の範囲によってかなり幅が出ます。今のご自宅にいくらかかるのかを知っておきたい方は、外壁リフォームの一括見積もりで複数の会社をまとめて比較できますよ。

外壁カバー工法の費用のまとめ

ここまで長くなりましたが、外壁カバー工法は「表面がもう塗装では持たないけれど、下地はまだ生きている」という家にとって、いちばん合理的な選択肢だと私は思っています。撤去費用がかからず、工期も短く、断熱と遮音まで一緒に手に入る。悪くない工事です。

費用の面でも、最初にかかる金額だけを見ると塗装のほうが安く見えます。でも、塗装は8年から15年でまた足場を組んで塗り直すことになります。2回、3回と繰り返せば、その総額はカバー工法1回分をあっさり超えていきます。あと何年その家に住むのか、次の世代に渡すのか。そこまで含めて考えると、答えは自然と絞られてくるかなと思います。

ただ、それは通気層がきちんと作られていて、下地の健全性が確認されている場合の話です。ここが省かれた工事は、10年後に「表面はきれいなのに壁の中が腐っている」という、いちばん厄介な状態を作ります。見えなくなる部分にお金を使う工事だという意識を持って、業者さんと話をしてみてください。

この記事のまとめ

  • 外壁カバー工法の費用は30坪で120万〜200万円が目安
  • 平米単価は9,000〜13,500円前後、足場は15万〜25万円
  • 外壁面積は延床の1.2〜1.4倍になるので前提を確認する
  • 金属サイディングはガルバリウム鋼板とSGL鋼板が主流
  • 築35年を超えたら塗装よりカバー工法か張り替えを検討する
  • 下地が傷んでいる家や雨漏りしている家では選べない
  • 通気層と透湿防水シートが施工品質の分かれ目になる
  • 製品の品番と保証内容を書面で確認して相見積もりを取る

外壁は家をぐるっと守っている一次防水です。屋根と同じで、傷んでから慌てるより、まだ選択肢がある段階で手を打ったほうが、結果的に費用は抑えられます。この記事が、判断の材料になればうれしいです。

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