陸屋根の雨漏り原因と修理費用は?防水工法も職人が徹底解説

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こんにちは。屋根屋のカズさんです。

「屋上のある家に憧れて陸屋根にしたけど、天井にシミが出てきた」「マンションの最上階で雨漏りしていると言われたけど、原因がどこなのか分からない」。こういうご相談、私のところにもけっこう届きます。陸屋根はフラットで見た目もすっきりしていて、屋上を使えるという大きな魅力がありますよね。ただ正直に言うと、勾配のある屋根にくらべて雨漏りのリスクは高い屋根なんです。

陸屋根の雨漏りは、防水層の劣化だけが原因とはかぎりません。排水ドレンの詰まり、パラペットや笠木の傷み、立ち上がり部分の端末のはがれなど、原因になりやすい場所がだいたい決まっています。逆に言えば、どこを見ればいいのかを知っておくだけで、早い段階で手を打てるということでもあります。

この記事では、20年以上現場に出てきた職人の目線で、陸屋根の雨漏りが起きる仕組みから、原因ごとの見分け方、防水工事の種類と費用の目安、そして修理を頼むときの業者の選び方までをまとめてみました。屋上防水やルーフバルコニーのメンテナンス時期で悩んでいる方にも役立つ内容かなと思います。

  • 陸屋根で雨漏りが起きる仕組みと原因になりやすい場所
  • 防水層やドレン、笠木の劣化サインの見分け方
  • 防水工法ごとの単価相場と耐用年数の目安
  • 部分補修と全面改修の判断基準と業者選びのコツ

陸屋根で雨漏りが起きる原因と仕組み

陸屋根とは何かと勾配の役割

陸屋根は「ろくやね」と読みます。読んで字のごとく平らな屋根のことで、フラットルーフとか、屋上として使えるものは単純に屋上と呼ばれたりもします。鉄筋コンクリートのビルやマンションではおなじみですが、最近はデザイン住宅や太陽光パネルを載せたい戸建てでも増えてきていますね。

ここで多くの方が誤解しているのが、陸屋根は完全に水平ではないという点です。図面上はフラットに見えても、実際には水勾配といっておおむね100分の1から50分の1程度のゆるやかな傾きが付けられています。1メートル進んで1センチから2センチ下がるくらいの傾きですね。この勾配で雨水を排水口まで導いているわけです。

問題は、この勾配の緩さです。瓦やスレート、金属屋根のような3寸4寸の勾配屋根であれば、雨は勝手に流れ落ちてくれます。ところが陸屋根は「流し落とす」のではなく「集めて排水口へ導く」構造なので、どうしても水が屋根の上にとどまる時間が長くなります。

勾配屋根は屋根材とルーフィング(防水シート)の二重構造ですが、陸屋根は基本的に防水層一枚で雨を止めています。逃げ道がない分、防水層の傷みがそのまま雨漏りに直結しやすいんです。

さらに、勾配が緩いと落ち葉や砂ぼこり、鳥のフンなどが流れ切らずに残ります。それが水を含んで湿った状態が続き、コケや藻が生えて防水層の劣化を早める、という悪循環も起きやすいですね。屋上として日常的に使っていれば掃除もしますが、まったく上がらない陸屋根だと何年も放置されてしまうことが本当に多いです。まずは「陸屋根は水がとどまりやすく、守りは防水層一枚だけ」という前提を頭に入れておいてください。この構造を理解しておくと、これから説明する原因の話がすっと入ってくるはずです。

防水層の劣化で雨漏りする流れ

陸屋根の雨漏りで一番多いのが、やはり防水層そのものの劣化です。防水層というのはウレタン塗膜やシート、アスファルトルーフィングなどでつくられた膜のことで、これが屋根全体を包み込んで雨水の浸入を止めています。

この膜は、まず一番上のトップコートが紫外線と風雨で少しずつ削られていきます。トップコートは防水層を守るための保護塗膜で、これ自体には防水性能はほとんどありません。表面を触ると白い粉が付くチョーキング、色あせ、光沢が消えるといった症状が出てきたら、保護膜が薄くなってきたサインです。

トップコートがなくなると、今度は防水層そのものが紫外線に直接さらされます。すると硬化して柔軟性が失われ、夏と冬の温度差による伸び縮みについていけなくなって、ひび割れや破断が起きます。ここまでくると、ひび割れから雨水がじわじわと下地に入り込むようになります。

厄介なのは、防水層に入った水がすぐ室内に落ちてくるとはかぎらないことです。下地の中を横に移動して、まったく別の場所の天井から出てくることもよくあります。だから「天井のシミの真上に穴がある」と思い込んで探すと、原因を見落としてしまうんですね。

木造や鉄骨の建物で防水層の下に水がまわると、野地板や梁が腐って構造そのものが傷みます。鉄筋コンクリートの場合は鉄筋がさびて膨張し、コンクリートを内側から押し割る「爆裂」を起こすことがあります。どちらも防水のやり直しだけでは済まなくなり、費用が跳ね上がります。

防水層の寿命は工法によって差がありますが、おおよそ10年から20年が目安です。天井にシミが出た、クロスが浮いてきた、部屋がカビ臭い、といった症状が出ているなら、防水層はすでに寿命を超えている可能性が高いと考えたほうがいいですよ。

排水ドレンの詰まりが招く浸水

防水層がまだしっかりしているのに雨漏りする。そういうときにまず疑うのが排水ドレン、いわゆる排水口です。私の経験では、陸屋根の雨漏り相談のうちかなりの割合がドレンがらみですね。

ドレンが落ち葉や土砂、コケ、鳥の巣などで詰まると、雨水の逃げ場がなくなります。もともと勾配が緩い屋根ですから、少し詰まっただけで屋上がプールのように水浸しになります。そして水位が上がると、防水層の立ち上がり部分の一番上、つまり端末の処理をしてある高さを超えてしまう。ここを超えられると、防水層の裏側に直接水が入り込みます。こうなるともう、どんなに良い防水材を使っていても意味がありません。

さらに、ドレンの周りというのは防水層の「端っこ」にあたる場所です。端部は構造上どうしても弱く、シートのはがれや塗膜の切れが起きやすいんですね。加えて、ドレンの金物とコンクリートの取り合い部分は、経年でわずかな隙間ができやすい場所でもあります。

防水を改修するときは「改修用ドレン」という部材を入れるのが基本です。既存のドレンの中に鉛やステンレス製の新しいドレンを差し込み、そこから新しい防水層を立ち上げてつなぐ方法で、古いドレン周りの隙間を根本から縁切りできます。見積書にこの項目が入っているかどうかは、業者の丁寧さを測るひとつの目安になりますよ。

対策としては、とにかく定期的な清掃です。年2回、できれば梅雨入り前と台風シーズンの前後に、ドレンのゴミを取り除くだけでかなりのリスクが減ります。ドレンカバー(ストレーナー)が外れたままになっている建物も多いので、そこも確認してください。オーバーフロー管という非常用の排水口が付いていれば、万一詰まっても水位が上がりすぎるのを防げます。付いていない建物では、後付けを検討する価値は十分にあると思います。

パラペットと笠木からの浸入

陸屋根の外周には、たいてい低い立ち上がり壁があります。これをパラペットと呼びます。屋上から人が落ちないようにする手すり壁の役割と、雨水を外にこぼさず内側のドレンへ集める堤防のような役割を兼ねています。

そしてパラペットの一番上、水平になっている天端には笠木という部材がかぶせてあります。金属製のものが多いですが、モルタルやコンクリートで仕上げてある建物もあります。この笠木が、陸屋根の雨漏り原因としてかなり上位に来ます。

理由は単純で、笠木は屋根の中でもっとも風雨と紫外線を受ける場所だからです。しかも金属笠木は長さの決まった部材をつないでいくので、必ずジョイント(継ぎ目)ができます。ここに打ってあるシーリングが5年から10年で切れてきて、隙間から水が入る。さらに笠木は上から金物やビスで固定されているものもあり、そのビス穴が水の通り道になることもあります。

笠木の内部には本来、防水紙や防水テープが仕込まれていて、多少水が入っても外へ逃がす仕組みになっています。ところが施工が雑だったり経年で切れたりすると、入った水がそのまま壁の中に落ちていきます。パラペットの内部は木下地の建物も多く、そこが濡れ続けると腐りますし、下の階の天井際にシミが出ます。

もうひとつ厄介なのが、屋上の防水層とパラペットの取り合い部分です。ここは防水屋さんの仕事と、笠木や外壁を扱う板金屋さん・大工さんの仕事が切り替わる境目にあたります。職種が変わる場所というのは、どうしても責任の境界があいまいになりやすく、施工不良が生まれやすいポイントなんですよ。笠木の劣化サインや交換の考え方については笠木交換の費用相場をまとめた記事でも詳しく触れているので、あわせて読んでみてください。

立ち上がり部と入隅の弱点

防水工事の世界では「平場は誰でも守れる、勝負は端部で決まる」とよく言われます。平場というのは屋上の平らな面のこと。ここは面積こそ広いですが、実は一番傷みにくい場所なんです。逆に雨漏りの引き金になるのは、ほとんどが端っこの処理です。

まず立ち上がり部。パラペットの内側や設備の基礎の側面など、防水層が垂直に立ち上がっている部分ですね。ここは重力で塗膜が薄くなりやすく、シート防水なら自重で下に引っ張られます。建築の基本としては床面から300ミリ以上立ち上げるのが望ましいとされますが、古い建物や増築部分では立ち上がりが足りていないケースもあります。立ち上がりが低いと、先ほどのドレン詰まりで水位が上がったときに一発でやられます。

次に端末部。立ち上がりの一番上で防水層を終わらせる部分で、押え金物とシーリングで留めてあるのが一般的です。このシーリングが切れると、そこから水が防水層の裏へ回り込みます。外から見ると防水層は無傷なのに、裏側だけびしょ濡れという状態になります。

入隅(いりずみ)や出隅(ですみ)といった角の部分も要注意です。立体的に折り曲げる場所なので材料に無理がかかり、動きの応力も集中します。ここに小さな切れが入っているだけで、面積としては数センチでも、雨漏りとしては十分な入り口になります。

屋上に設備が載っている場合はさらに注意が必要です。エアコンの室外機、給湯器、太陽光パネルの架台、アンテナのベースなど、屋上を貫通したり基礎を置いたりしている部分は、そのすべてが防水層の切れ目です。あとから設備業者が防水層にビスを打ってしまい、そこから漏っていた、というのも現場ではわりとよくある話です。屋上に何かを設置したあとから雨漏りが始まった場合は、まずその周辺を疑ってみてください。

防水層のフクレと下地の水分

屋上を歩いていると、ところどころ膨らんでフワフワしている場所に出くわすことがあります。あれがフクレと呼ばれる症状です。見た目のインパクトが強いので驚かれる方が多いんですが、これは下地の中に残っていた水分が原因で起きます。

コンクリートの下地には、もともとかなりの水分が含まれています。また、以前の防水層の傷みから入り込んだ水が下地に残っていることもあります。この水分が夏の日射で温められて水蒸気になると、体積が一気に膨らみます。逃げ場がないので、上に乗っている防水層を内側から押し上げる。それがフクレの正体です。

フクレ自体は、その瞬間に雨漏りしているわけではありません。ただ、膨らんだ部分は下地から浮いているので支えがなく、人が踏んだり物を落としたりすると簡単に破れます。破れればそこが浸水口になりますし、破れなくても膨らんだり縮んだりを繰り返すうちに材料が疲労して切れていきます。放っておいて良いものではないですね。

この問題への答えが、ウレタン防水の工法選びです。既存の下地に直接ウレタンを塗り重ねる密着工法は、材料費も工期も抑えられますが、下地に水分が多いとフクレが再発します。一方、下地と防水層のあいだに通気性のあるシートを敷き、脱気筒という筒状の部材から水蒸気を外へ逃がす通気緩衝工法なら、下地の水分をコントロールできます。単価は上がりますが、雨漏り歴のある陸屋根や、下地の含水が疑われる屋上ではこちらを選ぶべきです。

また、防水層の上に保護用のコンクリートを打ってある「押えコンクリート」仕上げの陸屋根もあります。この場合は伸縮目地という溝が切ってあり、そこに詰めてある材料が飛び出したり抜けたりしていたら劣化のサインです。押えコンクリートの陸屋根は改修の手間が変わってくるので、見積もりの前に必ず現地を見てもらってください。

陸屋根の雨漏り修理と防水工事の費用

防水工法ごとの単価と耐用年数

ここからは費用の話に入ります。まず前提として、陸屋根の防水工事は「平米あたりの単価×面積」に、付帯工事と諸経費を足して計算するのが基本です。工法によって単価も耐用年数も違うので、代表的なものを表にまとめておきますね。

工法 単価の目安(1平米) 耐用年数の目安 向いている場所
ウレタン防水(密着工法) 約5,000〜7,500円 約10〜12年 形が複雑な小面積、ベランダ
ウレタン防水(通気緩衝工法) 約6,000〜8,500円 約12〜15年 下地に水分がある屋上
塩ビシート防水 約4,500〜7,500円 約13〜20年 広くて平らな屋上
ゴムシート防水 約4,000〜6,500円 約10〜15年 広い面積、低コスト重視
アスファルト防水 約5,500〜8,000円 約15〜25年 マンション、ビルの屋上
FRP防水 約5,000〜8,000円 約10〜12年 歩行するバルコニー、小面積

ウレタン防水は液体状の材料を塗って膜をつくるので、出っ張りや設備基礎が多い複雑な屋上でも継ぎ目なく仕上げられるのが強みです。シート防水は工場でつくられた均一な厚みのシートを張るので品質が安定しやすく、広い面積では工期も短くて済みます。アスファルト防水は歴史が長く耐久性も高いですが、施工に手間がかかるため戸建てで採用されることは多くありません。

工法を選ぶときに大事なのは、単価の安さだけで決めないことです。たとえば同じウレタン防水でも、密着工法と通気緩衝工法では1平米あたり千円ほどの差しかないのに、雨漏り歴のある屋上では耐久性がまったく違ってきます。安いほうを選んで5年でフクレが出れば、結局やり直しで倍かかります。また、既存の防水層の種類によっては上から重ねられない組み合わせもあるので、まずは今の屋上が何の防水なのかを業者に確認してもらうところから始めてください。ちなみに耐用年数はあくまで材料が持つ年数であって、トップコートを一度も塗り替えなければ、表に書いた年数より短くなると考えたほうがいいですよ。

ここに挙げた金額はあくまで一般的な目安です。建物の形状、既存防水の種類、下地の傷み具合、搬入経路、地域によって実際の金額は変わります。正確な情報は現地を見た専門業者にご確認ください。

戸建ての屋上防水の費用目安

戸建て住宅の陸屋根やルーフバルコニーだと、面積は30平米から50平米くらいというケースが多いですね。仮に40平米でウレタンの通気緩衝工法を選んだとすると、防水本体だけで24万円から34万円くらいが目安になります。

ただ、実際の見積書は防水本体だけでは終わりません。ここに付帯する工事がいくつも乗ってきます。よく出てくる項目を並べておきますね。

項目 費用の目安 内容
高圧洗浄・下地処理 200〜500円/平米 汚れやコケの除去、ひび割れ補修
既存防水層の撤去処分 1,000〜3,000円/平米 重ね張りできない場合に発生
改修用ドレン 2〜4万円/箇所 排水口の縁切りとやり直し
脱気筒の設置 2〜3万円/箇所 通気緩衝工法で必要
笠木や立ち上がりの補修 3〜15万円 傷み具合により変動
シーリング打ち替え 900〜1,500円/m 取り合い部の防水
仮設足場 15〜25万円 外周作業や搬入で必要な場合
諸経費 工事費の5〜15% 運搬費、現場管理費など

これらを合わせると、戸建ての屋上防水改修は総額でおおむね40万円から80万円くらいに収まることが多い印象です。マンションやビルの屋上で200平米を超えるような規模になると、100万円台から数百万円という話になってきます。同じ面積でも、既存防水を全部はがす必要があるのか、上から重ねられるのかで数十万円単位で変わりますから、金額だけを見て高い安いを判断しないほうがいいですね。

見積書を受け取ったら、まず工法名と施工面積が書かれているかを見てください。「防水工事一式 55万円」としか書いていない見積書は、後から追加請求が出やすいですし、他社と比較することもできません。面積についても、実測なのか図面からの拾いなのかで数平米は変わってきます。できれば現地で採寸した数字を出してもらいましょう。

足場については、屋上に階段で上がれて外周の作業が不要なら、かからないこともあります。ただ、パラペットの外側も直す、材料を上まで運ぶ手段がない、といった条件だと必要になります。足場の考え方は屋根工事の足場費用について書いた記事で詳しく解説しているので、見積書に足場代が入っていて驚いた方は参考にしてみてください。

部分補修で済むケースの見極め

「雨漏りしているならすぐ全面やり直し」というわけでもありません。原因と傷みの範囲によっては、部分補修で十分止まることもあります。予算のことを考えれば、まずはここを見極めたいところです。

部分補修で済む可能性が高いのは、次のようなケースです。ドレンが詰まっているだけなら清掃で数千円から2万円ほど。立ち上がり端末のシーリングが切れているだけなら、打ち替えで3万円から8万円ほど。防水層のひび割れが数か所に限られていて、周りの膜はまだ弾力があるなら、部分的なパッチ補修で5万円から15万円くらいが目安になります。設備の架台まわりだけの浸水も、その部分だけの処理で止まることがあります。

逆に、次のような状態なら全面改修を考えたほうがいいです。防水層が全体的に硬化してひび割れが広範囲に出ている。フクレが何か所にもある。下地の木部やコンクリートがすでに傷んでいる。過去に部分補修をしたのに1年以内に再発した。この状態で部分補修を繰り返すと、補修費の合計が全面改修より高くつきます。

判断のカギになるのが、浸入口をきちんと特定できているかどうかです。陸屋根は水が下地の中を横移動するので、天井のシミの位置だけを見て原因を決めつけると外します。散水調査や赤外線サーモグラフィ、発光液を使った調査などで原因を絞り込んでから工事に入るのが本来の流れです。雨漏り調査の方法と費用についてまとめた記事もあるので、調査から入りたい方はそちらもご覧ください。

それから、原因を特定しないまま「とりあえず全面に防水を塗りましょう」と提案してくる業者には注意してください。下地が濡れたまま新しい防水層でフタをすると、その水分が閉じ込められてフクレの原因になります。急がば回れで、まず原因を突き止めることです。

トップコートの塗り替え時期

防水層を長持ちさせるうえで一番コスパがいいのが、トップコートの塗り替えです。先ほども触れたとおり、トップコートは防水層を紫外線から守る保護膜。この膜を切らさずに維持できれば、10年から15年の防水層を無理なく寿命いっぱいまで使えます。

塗り替えの目安はおおむね5年に一度です。使う材料によって差があり、アクリルウレタン系だと5年前後、フッ素系だと10年前後が目安になります。費用は1平米あたり900円から2,500円くらいで、戸建ての屋上なら5万円から15万円ほどに収まることが多いですね。防水を全面からやり直す費用にくらべれば、かなり軽い負担です。

塗り替えのサインは分かりやすいです。表面を手でなでたときに白い粉が付くチョーキング、色あせて光沢がなくなった状態、雨の日に水をはじかなくなった状態。このあたりが出てきたら、そろそろ塗り替え時期だと考えてください。うっすら緑がかってコケが出始めているのも要注意です。

気をつけてほしいのは、トップコートはあくまで「延命策」だということ。防水層そのものが破断して雨漏りしている状態でトップコートを塗っても、雨漏りは止まりません。すでに漏っているならトップコートではなく、防水層の改修が必要な段階です。ここを混同したまま契約してしまうケースが本当に多いので、注意してくださいね。

あともうひとつ。シート防水の場合、シートの種類によってはトップコートを塗れないもの、または専用の下塗り材が必要なものがあります。「うちの屋上はどの防水か分からない」という方は、塗る前に必ず業者に確認してもらってください。相性を無視して塗ると、数年ではがれてかえって汚くなります。防水層の種類は、施工時の保証書や図面が残っていれば確認できますし、残っていなくても現場を見れば職人にはだいたい判断がつきますよ。

陸屋根の雨漏りを防ぐ点検と業者選び

最後に、陸屋根の雨漏りを未然に防ぐためのメンテナンスと、いざ工事を頼むときの業者の見分け方をまとめておきます。

点検のリズムとしては、まず年2回の目視確認。梅雨入り前と台風シーズンのあとが理想です。見るポイントは、ドレンにゴミが溜まっていないか、水たまりが引かずに残っていないか、防水層にひび割れやフクレがないか、立ち上がりの端末シーリングが切れていないか、笠木の継ぎ目が浮いていないか。この5つを押さえるだけで、かなりの初期症状に気づけます。そのうえで5年ごとにトップコートを塗り替え、10年から15年で防水層の改修を計画する。これが陸屋根の基本的な維持サイクルです。

業者選びについては、次のポイントを確認してみてください。

  • 防水施工技能士など、防水の資格や実績があるか
  • 現地調査で下地の含水や既存防水の種類まで確認しているか
  • なぜその工法を勧めるのかを、こちらが納得できる言葉で説明できるか
  • 見積書に工法名・平米数・単価・付帯工事の内訳が書かれているか
  • 保証書を発行し、保証年数と対象範囲を明示してくれるか
  • 複数社から相見積もりを取り、金額だけでなく工事内容を比較しているか

逆に警戒したいのは、屋上に上がってもいないのに金額を出してくる業者、「今日契約すれば安くする」と急かす業者、火災保険で全部まかなえると断言する業者です。火災保険は台風や強風などの自然災害による被害が対象で、経年劣化による防水層の傷みは原則として対象外です。ここを曖昧にしたまま話を進める業者とは、距離を置いたほうがいいですよ。

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台風や強風で笠木や防水層が傷んだ場合は、加入中の火災保険が使えることがあります。今の保険の内容や保険料が適正か気になる方は、一括見積もりで比べてみるのも一つの手です。

陸屋根はメンテナンスさえきちんとしていれば、屋上を活かせる魅力的な屋根です。ベランダやルーフバルコニーの防水も考え方は共通しているので、ベランダ防水の費用相場を解説した記事もあわせて読んでいただくと、全体像がつかみやすいかなと思います。

この記事のまとめ

  • 陸屋根は100分の1から50分の1程度の緩い水勾配で排水しており、防水層一枚で雨を止めている
  • 雨漏りの原因は防水層の劣化のほか、ドレンの詰まり、パラペットや笠木、立ち上がり端末など端部に集中する
  • フクレは下地の水分が原因で、雨漏り歴のある屋上では脱気筒を使う通気緩衝工法が有効
  • 防水工事の単価は工法により1平米あたりおよそ4,000円から8,500円、耐用年数は10年から25年が目安
  • 戸建ての屋上防水改修は総額40万円から80万円程度が多く、ドレン改修や足場が加算される
  • ドレン清掃やシーリング打ち替えなど、原因が限定的なら部分補修で止まることもある
  • トップコートは5年ごとの塗り替えが目安だが、すでに漏っている屋根には効果がない
  • 年2回の点検と、資格や見積内訳、保証を確認したうえでの業者選びが後悔しないコツ

費用はあくまで一般的な目安です。正確な情報は現地を確認した専門業者にご確認ください。

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